1つのこびんがありました。
コルクの栓の中には手紙。
くるりと丸めた手紙と一緒に、だいじなものが入っています。
女の子の手を離れて、こびんは海へと旅に出ました。
ゆらゆら揺れて、ちゃぷちゃぷ揺れて、岸から遠くへ運ばれます。
着いた海辺で兄弟が、それを見つけて開けました。
中には手紙と……。
兄弟は、手紙を書いてこびんの中へ。
ふたたびこびんは旅に出ます。
夜の海には、夜の光がやさしく届き、ちゃっぷりちゃっぷんとこびんは流れていきます。
着いた浜辺で男の子、それを見つけて開けました。
中には手紙と……。
流れ着くたび、誰かがそれを見つけ、こびんのふたは開けられます。
その中には、こびんがだいじに運んできた手紙。
そして、手紙と一緒に届くのは、歌声や笑い声、あたたかなスープのにおい、それから、花の香りや誰かのおしゃべりと、やさしい声の祈りの言葉。
遠く遠く旅したこびん。
誰かから誰かへの、幸せの贈りものを、ゆっくりだいじに運んできました。
この絵本を手にとる時、その全部がつまったこびんが1つ、本を開く手に、届けられます。 |