クリスマス、そのほんの少し前……イブの真夜中のこと。
子どもたちは早鐘を打つ胸を抱え、なかなか眠ることができません。
静まりかえった広い家の一室で耳を澄ませば、サンタクロースが空を駆ける音が聞こえるよう。
目をとじれば、天使の姿も見えるよう。
4人の子どもたちは、そうっとベッドを抜け出して、ツリーに触れてお願いごとをしてくることに。
息をひそめて両親の部屋を通り過ぎ、ドアを抜け、階段をおります。
寝静まった何もかもを、起こすことのないように。
辿りついた居間のドアを入ると……
見上げるほどの大きなツリーには、たくさんの飾り。
暖炉の残り火がそれらを輝かせて、あたたかな部屋できらめいています。
もみの木のよい香りの中で、子どもたちは寄り添って立っていました。
誰も動きません。
誰も声を発しません。
その美しくおごそかな様子に息をのみ、ただ、立ち尽くしていました。
外は雪。
しんしんと白く降り積もり、共に天から降ってくるように響くのは、大人たちの讃美歌の歌声。
橙と黄と白と黒。
それだけで描かれた、特別な夜。
静けさと輝きとにすべてが満ちていて、遠く子どもの頃の躍る心をほのかに思い出すような、胸の奥をそっとくすぐられるような、クリスマス・イブの物語です。
|