アメリカ西海岸、カリフォルニア州北部の都市サンフランシスコの、とある高いビルの屋上に、1羽の灰色のハトが住んでいました。
彼の名はシッド。
ビルの名を示すネオンサインの「B」の文字の内側が、お気に入りの住みかです。
彼は朝早く、いつもそこから飛び立ち、途中、白い雌のハトと落ち合うと、パンくずを撒いてくれる人がいる公園に出かけます。
お昼頃には、その2羽が空高く滑空し、雲から雲へと出入りしながら、仲睦まじく飛ぶのが見えました。
ある日、シッドは白ハトのミッジを、お気に入りの住みかの「B」の文字へと招き入れると、共に住むことにし、巣作りを始めます。
やがて、2つの卵を交替であたためる日々がやってきました。
ところが!
出かけたシッドを待つ、卵たちとミッジの身に、たいへんなことが起こります。
住みかが大きく揺れ、ぐらりと傾き、なんと、屋上のネオンサインが次々にとり壊され、地上のトラックにおろされていくのです。
もちろん、たいせつな住みかの「B」の字も!!
ミッジは、卵たちは、いったいどうなるのでしょう?
シッドは、愛妻と卵たちの窮地に間に合うのでしょうか。
ハラハラと心落ち着かず、先へとページをめくらずにはいられない、読み応えのある絵本。
11月22日の「いい夫婦の日」に、ずっと見守ってあげたくなるような、ハトの夫婦の心あたたまる物語はいかがでしょう。
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