月おとこは、地球の人たちが、うらやましくてたまらない。

ある夜、流れ星に乗っかって、地球にやってきた（落っこちてきた）。

しかし、インベーダーだと疑われ、牢屋に入れられた、かわいそうな月おとこ。

ところがびっくり。
お月さまが欠けていくのにつれて、月おとこもだんだん痩せていって、とうとう鉄格子窓から逃げられるくらいになった。

何日かして、お月さまがまた三日月になったので、月おとこのからだも見えてきた。

自由になれて大よろこびの月おとこ。
念願のダンスパーティーにも参加して、天にも昇る夢ごごち。

ところがところが、何の不運か、またまた警官に追われる身の上に。

この窮地を救ったのは、世の中からは、とっくの昔に忘れられていた、科学者ドクトル・ブンゼン・バン・デル・ダンケル。

さあ、月おとこの運命や如何に……。

トミー・ウンゲラーという作家の、ウィットに富んだ物語と、ユーモアたっぷりの絵。
特に目を惹くのは、登場人物一人ひとりの顔だ。
その視線の向け方、眼鏡のずらし方、その手の置き方、顎の尖り具合。
もちろんひとりとて同じ者はいなく、個性豊かな粒者揃いだ。