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書籍名 よあけ
出版社 福音館書店
著者 ユリー・シュルヴィッツ/作・画 瀬田貞二/訳
出版年 1977年
定価 1,200円+税

あ ら す じ

しん ─ と、何もかもが静けさにつつまれた、
よあけ前。

湖畔の木の下で、寝息をたてている、祖父と孫。
二人の姿を包んだままに
やがて、空がその色を少しずつ変えていく。
黒から紺、そして瑠璃、藍……。

照らす光が、月から陽へと変わる頃、
風が目覚め、水を撫で
静かにしずかに、生きものたちが目覚めていく。

空を舞うもの、地に添うものたちが
動き、鳴き、
それが二人に目覚めを促す。

冴えざえとした空気の満ちた湖へ
漕ぎ出す二人の空に
次第に、強く明るく、光が広がる。

音は無く、余剰な音は何も無く、
風と、鳥の声と、オールの軋む音と、少しのしぶきと共に。
そのとき。

光が、すべてを染めて、あまたの色を生みだす。
その眼に映る色は
青に緑に黄色に朱に。
ただ、あるがままに生きるものたちの色に、
目を瞠り、息をのむ。


そんなひと時が収められた一冊。
めくり進めるその手はきっと、
描かれた時間そのままに、
ゆったりとあることだろう。



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