ファンタジーや冒険もののお話が、児童文学界を賑わせていた時代、 子どもたちを取り巻く、日常の生活・家庭の風景を描いた ベバリイ・クリアリーの『ゆかいなヘンリーくん』の一連のシリーズ作品は、 当時の子どもたちに夢中で読まれ、ひっぱりだことなっていたそうです。
両親や友だち、町の人々を次々と巻き込んでは、 ドタバタ騒ぎを起こすヘンリーくん。 そのドタバタぶりは、アメリカの作品ならではの 底抜けに明るいユーモアに満ち溢れていますが、 そのヘンリーくんと肩を並べてすさまじい騒ぎを起こすのが、 作品の中でも一番のムードメーカーである名犬、アバラー。 騒ぎの起こるところにこの犬あり、というくらい、 奇想天外で神出鬼没のアバラーが、今作品では、迷子になってしまいます。
大型スーパーマーケットの駐車場で、車の中に一人とり残されたアバラーが、 ひょんなことから車外に抜け出すことに成功、 しかし自分の乗っていた車がさっぱりわからなくなって、 あわてて、見覚えのある車に乗ってしまうのです。 ところが!その車は、アバラーの知らない道をぐんぐん進み始めたから大変。 一度は車から飛び降りるのですが、突然降りだした雨に、鼻が効かなくなり・・・。 と、物語の冒頭からすでにドタバタの連続。 迷子になった犬、そして飼い主の行動が、 すれ違いながらも少しずつ近づいていく様子は、 じれったいけれど、それがまた楽しい。 読み始めたが最後、どうぞ一気に読み切ってしまってください!
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