「ねえ、おばあちゃま、ママがわたしくらいだったときのことを話して。」 物語が始まるそこには、温かなまなざしの老女と愛らしい孫娘。そして傍らに眠る三頭のコーギ犬がいる。 暖炉ではぜる火の音が間近に聞こえるかのような場所で時を遡り、12の月の想い出がゆっくりと語られていく……。 常に在るのは、人々の笑顔。過剰な恩恵を求めない代わりに、自然との共存の中で、伝統を大切に豊かに生きるその姿。 時折目を細めて、楽しかった想い出をくり返し味わうかのような老女の語らいに、耳を澄ませてみたくなる、詩情あふれる一冊。 |